
欠片 - KAKERA
作詞/作曲 遠藤雅美
【楽曲制作】MASAMI ENDO
旅を終えて、駅から、特に空港から自宅に帰る時は必ず、ちょっと切ない気持ちになる。
旅が終わってしまった、その事自体が、時の過行きをまさに体現していて、
どんな旅の終わりでも、空港というだけで切なくなる。
それって、私だけかな。
まさに羽田空港から自宅へ帰宅する、その時にこの曲の構想が浮かんだ。
この曲に限っては、歌詞もほぼ苦労することも無く、まるで自分が書いているんじゃないように、すらっと書けた。
置いてきたもの。
ふいに心の中で振り返れば、思い出す人。
思い通りにならなかったこと。
まるで何かの欠片を落としてきてしまったような、切ない気持ち。
また会いたい。
でも時は止まることなく、人生も進んでいく。
曲の冒頭の環境音も偶然、アレンジャーの吉田先生が昔、パリの空港で録った音だ。
パリっていうのがこの曲にはちょっとオシャレ過ぎるけど、良き偶然だな。
【映像制作】KATSUKI AKINAGA
記憶は、いつでも静かに蘇る。
思い出す景色は、どうしてこんなにも美しいのだろう。
けれどその中に、自分の姿はない。
ただ遠くから、そっと見つめているだけ。
戻りたくても戻れない。
触れたくても届かない。
その感覚は、どこか儚くて、けれど不思議とあたたかい。
もしかしたら、記憶とは、そういうものなのかもしれない。
かつては鮮やかだったはずの情景も、時間の中で少しずつ輪郭を失い
やがて霞のように薄れていく。
それでもふとした瞬間に、また心に浮かび上がり、
私はそっと、その記憶に沈んでいく。
今回のMVでは
「肉眼に近い記憶で撮ること」を大切にしました。
目の前の人を思いながら、優しさを胸に、レンズを向ける。
まるで、自分の目で見ているかのような距離と温度で。
風景も、空気も、感情も、
すくい上げるように、静かに、丁寧に。
飾らず、作りすぎず。
その場に流れていた光と気配を、
ただ、そのまま映し出すように。

